「よし、練習するぞ!」と意気込んで打ちっぱなし(ゴルフ練習場)に行ったものの、「ボールがまっすぐ飛ばない…」「ダフって大きな音が響くのが恥ずかしい…」と不安を感じたり、「何から始めたらいいかわからない…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
大丈夫です。ボールがまっすぐ飛ばないという課題は、ゴルフ初心者なら誰もが抱えている悩みです。隣で華麗なショットを打っているゴルファーも、きっと初心者の頃は同じように悩んでいたはずです。
この記事では、そんなゴルフ初心者の方に向けて、打ちっぱなしで「恥ずかしい思い」をせずに効率よく上達するための対処法と、最初に練習すべきクラブ、そして正しい練習の流れを優しく解説していきます。
打ちっぱなしに通う目的を決めよう
練習の質を高め、効率よく上達するためには、ただ闇雲にボールを打つだけでは非常にもったいないです。ゴルフの上達を目指すのであれば、毎回練習の目的を決めることが上達への近道になります。
例えば、「遠くに飛ばす」という漠然とした目的ではなく、以下のように具体的かつ明確なテーマを設定しましょう。
- 「7番アイアンでダフらないように芯に当てる」
- 「短い振り幅(ハーフショット)で、体とクラブの一体感を覚える」
- 「狙った場所にボールを落とす距離感を養うために、30ヤード先を狙う」
目的意識を持つことで、「何を意識すべきか」「次に何をすべきか」が明確になります。慣れてきたら、練習を「10球で1テーマ」などと区切り、目標を意識して取り組んでみてください。
上達する人の共通点:姿勢・習慣・考え方
打ちっぱなしで着実に上達していく人には、いくつかの共通点があります。
1. 「飛ばすこと」より「当てること」を最優先する
初心者が最初に重視すべきなのは、「クラブの芯に正確に当てること」です。
遠くに飛ばそうと力んでしまうと、フォームが崩れ、変な癖がついてしまいます。
上達が早い人は、まず「真っすぐボールを打つ」「芯でとらえる」ことに集中して練習を積んでおり、飛距離はその結果として自然についてくるものだと知っています。
2. 正しいスイングの「再現性」を追求する
ゴルフでは、毎回同じスイングを繰り返す「再現性」が非常に大切です。
上達する人は、正しいグリップ、正確なアドレス(構え)、スムーズなスイングが毎回できるように、確認と修正を繰り返しています。一度身についた悪い癖を直すのは大変なので、正しいスイングの基礎を身につけることが本当に重要です。
3. 本番を想定したルーティンを持っている
上達が早い人は、コースでのプレーと同じように、練習場でも一貫したルーティン(決まった動作)を取り入れています。ショットの前に、後方から目標を確認し、軽い素振りや足踏みなど、決まった動作を行うことで、集中力を高める効果があります。このルーティンを練習から意識することが、本番での安定したプレーにつながります。
4. 自分のスイングを客観的にチェックしている
自分のスイングを客観視することは上達の鍵です。
スマートフォンでスイング動画を撮影し、自分がどのような動きをしているか確認することは非常に効果的です。
思っていた以上に体がぶれていたり、インパクトがずれていたりといった多くの気づきを得ることができます。
初心者がやりがちなNG行動
せっかく打ちっぱなしに行くなら、効率の悪い練習や怪我につながる行動は避けたいものです。
1. いきなりドライバー(1番長いクラブ)ばかり打つこと
ドライバーは、より遠くに飛ばせるクラブですが、クラブの長さが一番長く、最も難しいクラブです。
初心者が最初からドライバーを使うのはNG行動の代表格です。
難しいクラブで無理に飛ばそうとすると、フォームが崩れ、悪い癖がつきやすくなります。
まずは番手の短いクラブから練習を始めることをおすすめします。
2. 力任せに「マン振り」すること
飛ばしたい気持ちはわかりますが、力任せに思い切り振る「マン振り」ばかりを繰り返すのは避けましょう。
バランスを崩し、体が悪いスイングを覚えてしまうことになりかねません。
また、力任せのスイングは怪我の原因にもなります。
3. 休憩なしで数だけこなそうと連続で打ち続けること
ボールを連続でどんどん打つ練習も効率が悪いです。疲労が蓄積するとフォームが崩れ、間違ったスイングフォームを体が覚えてしまうリスクがあります。
ミスショットが出た後や、良い当たりが出た後でも、その都度立ち止まり、1球打ったら1回素振りをするなど、リズムを持って打ちましょう。
プロでも1日200球程度を目安に休憩を挟みますが、初心者の方は50〜100球程度を目安に抑え、疲労でフォームが崩れないように休憩や水分補給を挟むことが大切です。
4. 周囲への配慮を忘れること(マナー違反)
ゴルフは「安全」と「配慮」が基本のスポーツです。
- 大きな声や騒音を出さない:周りの人の集中を乱さないようにしましょう。
- 打席以外で素振りをしない:隣の人にクラブをぶつける可能性があるため大変危険です。
- スイング中に後ろを通らない:隣の打席のクラブ軌道を常に意識してください。
これらのマナーは、打ちっぱなしの時から意識して守るようにしましょう。
最初に練習すべきクラブとその順番
クラブはたくさんあって迷いますよね。どのクラブから練習を始めるのが最も効率的でしょうか。
最初に練習すべきクラブは「9番アイアン」または「7番アイアン」
初心者がスイングの基礎を固めるために最初に練習すべきクラブは、9番アイアンまたは7番アイアンです。
かつては、クラブの長さが中間の7番アイアンから練習するのが一般的でした。
7番アイアンは適度な長さとロフト角(フェースの傾き)があり、初心者でも扱いやすくミスが少ないため、スイングの感覚を身につけるのに最適だとされていました。
しかし、最近ではアイアンセットがより長いクラブ(6番など)から始まることが主流になったため、7番アイアンは中間的なクラブとは言えなくなってきています。そのため、より短く、ボールがつかまりやすく上がりやすい9番アイアンを最初に推奨するプロが増えています。
9番アイアンなどの短いクラブは、ケガの防止になり、小さい振り幅で練習することで方向性が良くなるというメリットがあります。
どちらのクラブを選ぶにせよ、大切なのは「パター以外のクラブにおいて、スイングの基本は変わらない」ということです。まずは短いクラブで、正確にボールに当てる基礎を徹底的に練習しましょう。
練習すべきクラブの順番と活かし方
7番(または9番)アイアンでスイングの基礎を固め、自信を持って振れるようになったら、次にドライバーやウェッジ、そしてパターに挑戦しましょう。
| 練習する順番 | クラブ | 目的/活かし方 |
| 1番目 | 7番/9番アイアン | スイングの基本を身につける。他のクラブを振るための基礎になります。 |
| 2番目 | ドライバー / ウェッジ | ドライバーは飛距離、ウェッジはコントロールを意識したスイングに応用します。 |
| 3番目 | パター | ヘッドをまっすぐ動かす感覚と、グリーン上での独特な距離感を覚えます。 |
ドライバーのポイント
ドライバーはアイアンよりもクラブが長く、軽いのが特徴です。アイアンで身につけたスイングのイメージを活かすことが大切です。
1. ボール位置:クラブが長いため、ボールは左足の内側ラインにセットします。
2. スイング:飛ばしたい気持ちを抑え、スイングが大きくなりすぎないよう注意しましょう。アイアンと同じイメージで振っても、クラブが長いため十分な大きさのスイングになります。
ウェッジ系のポイント
ウェッジ系のクラブはグリーン周りでのアプローチ(短い距離を狙うショット)をしっかり振り抜くことがコツです。距離はスイングの幅で決まるので、力加減を変える必要はありません。
パターのポイント
コースでは最優先で「カップに入れること」が求められます。パターの練習では、「2パットで入れる意識」と「ヘッドをまっすぐ動かす意識」が重要です。1パット目でカップから大きく外すリスクを減らすために、まずは「寄せる」ことを専念しましょう。
効率の良い通い方・頻度
練習は「量」よりも「質」が重要です。自分のレベルに合った練習頻度で、効率よく通いましょう。
練習頻度は週に2〜3回を目安に
毎日練習する必要はありません。疲労が蓄積したり、間違ったスイングフォームを体が覚えてしまうと、修正するのが難しくなります。
週に2〜3回のペースを基本とし、体調や上達具合を見ながら調整するのが最適です。練習後は、使った部位のストレッチを必ず行い、ケガの予防に努めましょう。
不安なうちは時間帯や打席選びも工夫しよう
初めての打ちっぱなしで周りの目が気になる場合は、以下の方法で「恥ずかしい思い」をしないための対処が可能です。
人が少ない時間帯に行く
平日早朝や深夜など、利用者が少ない時間帯を狙いましょう。ただし、フロント営業がされていない場合、貸しクラブが使えなかったり、ボールのプリペイドカードが買えなかったりする可能性がありますので、事前に確認が必要です。
打席を選ぶ
人目を避けるために2階や3階打席を選ぶ方法もあります。一方で、初心者は球の落下地点が把握しやすい1階の中央付近がおすすめという意見もあります。練習の目的に応じて選んでみましょう。
レッスンを早い段階で活用する
独学で間違った癖が定着する前に、プロによるレッスンを早い段階で受けることは、上達への圧倒的な近道です。正しい基礎知識や、自分に合った正しいスイングを身につけることができます。
スイングの悪い癖がつく前に!プロの指導で上達を加速!
自己流で変な癖がついてしまうと、後で直すのに時間がかかります。
まずは体験レッスンで、あなたのスイングの課題をプロに診断してもらいましょう。
手ぶらでOKなので、仕事帰りにも気軽に行けますよ。
今日からできる練習メニュー例:3段階の振り幅
効率よく上達するためには、いきなりフルショットをするのではなく、短い振り幅から徐々に大きくしていく練習方法が効果的です。
ステップ1:ハーフショット(腰から腰)
最初に練習するのは、腰から腰の高さまでの振り幅(ハーフショット)です。
ハーフショットにはスイングの基本が詰まっています。
チェックポイント
手打ちにならないよう、体の回転を使って振りましょう。
体とクラブが一体となって動く感覚を覚えることが重要です。
球数目安
最初の20球程度はハーフショットに集中し、芯に当てる感覚を養いましょう。
ステップ2:スリークォーターショット(肩から肩)
ハーフショットでボールが安定して当たるようになったら、次に肩から肩までの振り幅(スリークォーターショット)に移行します。
チェックポイント
トップで右肘、フォローで左肘をたたむ動きを取り入れます。フィニッシュで左足に体重がきちんと乗っているか確認しましょう。
ステップ3:フルショット
スリークォーターショットで感覚がつかめてきたら、いよいよフルショットに挑戦です。
チェックポイント
これまでの短い振り幅で身につけた体の回転とリズムを意識し、大振りにならないように注意します。
フルショットの練習は、全体の練習球数の中で少なめにしましょう(例えば100球中10球程度)。
ゴルフの練習を始めて半年から1年くらいまでの間は、練習場で100球打つとしたら50球は9番アイアンでハーフショット、スリークォーターショット、フルショットを混ぜ合わせたスイング作りに使うと効率的です。
まとめ
打ちっぱなし練習は、ゴルフの基礎作りや応用技術の基礎作りに欠かせない場所です。
「ボールがまっすぐ飛ばない」「ダフって大きな音が響く」といった失敗は、誰もが通るビギナー期の特徴です。恥ずかしい気持ちは最初だけで、練習に集中すれば自然と薄れていきます。失敗を恐れずに、「なぜミスしたのか」「次はどうすればいいか」と考えながら練習を重ねましょう。
最初に練習すべきは7番または9番アイアンで、短いクラブからスイングの基礎を習得することが、最速の上達ルートです。
自分のペースで、目的意識を持って練習に取り組めば、必ずゴルフの楽しさをより深く味わうことができるはずです。
正しいフォームと効率的な練習法を身につけて、一緒に頑張りましょう!
- ダフる: ボールの手前の地面(人工マット)を叩いてしまうミス。
- シャンク: クラブの付け根(ネック)にボールが当たってしまい、ボールが大きく横に飛んでしまう現象。
- アドレス: ボールを打つ前の構え。正しい前傾姿勢やボールの位置などを確認することが大切です。
- ロフト角: クラブフェースの傾き。ロフト角が大きい(寝ている)ほど、ボールは高く上がりやすくなります。
